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小規模事業者持続化補助金の税務上の処理(法人)①

 

 

今回は、小規模事業者持続化補助金の税務上の処理について見て行きます。補助金の経理処理は難しく、特に補助金の支給スケジュールの途中で決算期をまたいでしまうと、とても複雑な処理になってしまいます。補助金をもらって、経理処理に何時間もかかるようなことがあると、ある意味、補助金の効果が薄れてしまいます。できれば、補助金支給とともに詳細な経理マニュアルをいただければ一番良いのですが、現状は、各々が判断していくしかないようです。そのようなことから、今回は、小規模事業者持続化補助金の処理について考えてみました。根拠となった関連条文なども掲載しておきますので、自己責任でご判断下さい。

 

お断り

税法の条文を確認しながら経理処理を考えてみましたが、小規模事業者持続化補助金に関して経理処理のマニュアル的なものを確認した訳ではなく、個人的な判断で記載している部分があり、あくまでも参考程度に考えて下さい。

 

 



小規模事業者持続化補助金の支給スケジュール(一例)

 

補助金の支給スケジュールは、毎年、下記のような感じです。「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」や「小規模事業者持続化補助金に係る補助事業に対する補助金の額の確定について」などの書類が送られてきます。

 

平成30年7月19日 「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」

 

平成30年9月1日 器具備品 広告宣伝費 などに支出

 

平成30年11月27日 「小規模事業者持続化補助金に係る補助事業に対する補助金の額の確定について」

 

平成30年12月19日 補助金支給

 

 



補助金の収益計上日はいつなのか?

 

ネット等で補助金の経理処理を確認すると収益計上日の判断が分かれているような場合があります。上記の補助金支給スケジュール後に決算日が来るのであれば、同一会計期間内なのであまり問題はないのですが、補助金支給スケジュールの途中で決算を迎えた場合、補助金の収益計上日により経理処理が異なってきます。考え方として、下記3つのパターンがあります。個人的には、①だと思うのですが、各々自己責任でご判断ください。補助金支給スケジュールの途中で決算日がくる場合の経理処理については、次回確認していきます。

 

①「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」の日付で収益計上する。また、「小規模事業者持続化補助金に係る補助事業に対する補助金の額の確定について」の日付で、補助金の返還不要が確定したものとする。

 

法人税基本通達10-2-1 (返還が確定しているかどうかの判定)

 (注) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条《補助金等の額の確定等》の規定により交付すべき補助金等の額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当する。

 

 

 

②「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」の日付で収益計上し、同日に、返還不要が確定している。

 

 

 

③「小規模事業者持続化補助金に係る補助事業に対する補助金の額の確定について」の日付で、収益計上し、同日返還不要が確定している。

 

 



税務処理の注意点

 

税務処理の注意点をまとめてみました。

 

①補助金収入については、消費税は課税されず不課税売上

(補助金、奨励金、助成金等)

5-2-15 事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金若しくは助成金等又は補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第2条第1項《定義》に掲げる補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

 

 

②圧縮記帳が認められる

 

 

③圧縮記帳の適用要件は、「返還を要しないことが確定していること」である

圧縮記帳の条文を確認すると、「返還不要が確定している場合に限る」との記載があります。なので、返還不要確定日が決算日前か決算日後かで経理処理が変わるので気を付けてください。

 

第四十二条 内国法人(清算中のものを除く。以下この条において同じ。)が、各事業年度において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(第四十四条までにおいて「国庫補助金等」という。)の交付を受け、当該事業年度においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合(その国庫補助金等の返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限る。)において、その固定資産につき、その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

 

(返還が確定しているかどうかの判定)

10-2-1 法人が交付を受けた国庫補助金等について次のような一般的条件が付されていることは、法第42条第1項(同条第5項を含む。)、第43条第1項(同条第2項、第6項若しくは第8項を含む。)又は第44条第1項(同条第4項を含む。)《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入等》の規定の適用上、当該国庫補助金等につき返還を要しないことが確定しているかどうかの判定には関係がないものとする。

 

(1) 交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。

(2) 一定期間内に相当の収益が生じた場合には返還しなければならないこと。

 

 (注) 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条《補助金等の額の確定等》の規定により交付すべき補助金等の額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は、返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当する。

 

 

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律

(補助金等の額の確定等)
第十五条 各省各庁の長は、補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては、報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現地調査等により、その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し、適合すると認めたときは、交付すべき補助金等の額を確定し、当該補助事業者等に通知しなければならない。

 

 

 

④補助金収入は、交付決定日に計上すべき?

補助金の収益計上時期は、権利確定主義の立場から、交付決定日だと思いますが、自己責任でご判断下さい。

 

補助金ではありませんが、給付金の場合、下記の通達があります。

(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)

2-1-42 法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費をほてんするために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。

 

(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 

 

 

⑤国庫補助金の圧縮記帳は、10万円未満の少額の減価償却資産・一括償却資産の損金算入制度と併用できる

 

 

 

 

 

⑥国庫補助金の圧縮記帳と30万円未満の少額減価償却資産の損金算入の特例は併用できる

 

 

 

 

圧縮記帳を行う必要がある場合とは?

 

補助金を、広告宣伝費など、一時に損金算入できる経費に支出した場合は、圧縮記帳は関係ありません。

 

圧縮記帳を行う場合とは

補助金で固定資産を購入した場合、固定資産は耐用年数により減価償却していくことになります。例えば、補助金を50万円もらい、70万円の減価償却資産を購入し、減価償却費が10万円だった場合、それ以外の収入と経費がないと仮定すると、40万円に対して税金が課税されることになります。初年度に補助金に対して税金が課税されると補助金交付の目的を達成できなくなります。そのようなことから、圧縮記帳とは、資産の取得にあてた補助金相当額を圧縮損として損金に計上し、その資産の取得価額から同額を減額することで、補助金の交付を受けた時点では、税金が課税されないようにする制度なのです。また、取得価額から圧縮損と同額が減額されているので、毎年の減価償却費が少なくなり、圧縮記帳は、課税の繰り延べ制度ともいえます。

 

 



圧縮記帳には2種類の方法がある

 

圧縮記帳には、帳簿価額を減額する簿価減額方式と確定した決算又は決算の確定日までに剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる積立金方式の2種類の方法があります。企業会計では、積立金方式が原則とされているようですが、監査を必要としない中小企業の場合は、簿価減額方式を選択した方が処理的には簡単です。

 

簿価減額方式の仕分け方法を見て行きます。

補助金40万円 器具備品50万円の支出にあてた場合

 

「仕訳」

勘定科目 金額 勘定科目 金額
器具備品 500,000 現金 500,000
圧縮損 400,000 器具備品 400,000

 

※器具備品は、10万円の取得価額で減価償却費を計算します。

 

圧縮記帳により、帳簿価額が1円未満になる場合には、下記のような規定があります。

(圧縮記帳をした資産の帳簿価額)
第九十三条 法第四十二条、第四十四条から第四十七条まで、第四十九条又は第五十条(圧縮記帳)の規定の適用を受ける資産については、これらの規定の適用によりその帳簿価額が一円未満となるべき場合においても、その帳簿価額として一円以上の金額を付するものとする。

 

 

 

別表の13(1)の添付が必要

 

 

 

例題 同一会計期間内に補助金支給スケジュールが完了する場合

 

今回は、同一会計期間内に補助金支給スケジュールが完了する場合の仕分けについて確認していきます。「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」の日付で補助金収入を計上していますが、自己責任でご判断下さい。同一会計期間内なので、大きな問題にはならないと思います。

 

同一会計期間内に補助金支給スケジュールが完了する場合

平成30年7月19日 「小規模事業者持続化補助金交付決定通知書」

 

平成30年9月1日 器具備品 広告宣伝費 などに支出

 

平成30年11月27日 「小規模事業者持続化補助金に係る補助事業に対する補助金の額の確定について」

 

平成30年12月19日 補助金入金

 

 

決算日:平成31年3月31日

---------------------------------

 

 

 

事例① 広告宣伝費など一時に経費計上できるものに支出した場合 

補助金30万円 広告宣伝費45万円

 

「仕訳」

 

日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要
H30.7.19  未収入金 300,000 補助金収入 300,000 消費税不課税
H30.9.1 広告宣伝費 450,000 現金 450,000
H30.12.19 預金 300,000 未収入金 300,000

 

減価償却資産を取得しなければ圧縮記帳の必要はなくそれほど難しくはありません。

※補助金収入は、「雑収入」などの科目で計上しても良いと思います。

 

 

 

事例② 減価償却資産と広告宣伝費に支出した場合

補助金30万円 広告宣伝費5万円 器具備品40万円

 

「圧縮損の金額計算」

圧縮損 30万円 × 40万円/(5万円 + 40万円) =266,666円

 

「仕分け」

 

日付 勘定科目 金額 勘定科目 金額 摘要
H30.7.19  未収入金 300,000 補助金収入 300,000 消費税不課税
H30.9.1 広告宣伝費 50,000 現金 50,000
H30.9.1 器具備品 400,000 現金 400,000
H30.12.19
預金
300,000
未収入金
300,000
 
H31.3.31
圧縮損
266,666
器具備品
266,666
 

 

 

「別表13(1)」

 

 

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今回は、補助金支給スケジュール後に決算日がくるという状況でご説明しましたが、補助金支給スケジュール中に決算日が来ると、処理が変わってきますので、また、次回、ご説明いたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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