所得税申告書|税額がでなければ確定申告の必要はない?
- 投稿日:2020年10月02日
- カテゴリ:税金取扱い

所得税申告書|税額がでなければ確定申告の必要はない?
給与以外の所得が20万円以下の場合は、所得税の申告は必要ないというルールについてはご存知の方は多いと思います。一方、その判定の前の段階で、そもそも税額が出ない場合は、所得税の申告は必要ないというルールがあることについては見落とされている方が意外と多いと思います。今回は、どのように規定されているか確認してみたいと思います。
条文では
条文では、「所得税の額の合計額が、配当控除の額を超えるときは、申告書を提出しなければならない」と規定されています。言い換えれば、超えないときは、申告の必要はないということになります。税額がでない場合、申告の必要がないのは当然と言えば当然です。
年末調整で住宅ローン控除を受けている場合は、読み替え適用
給与所得者が、年末調整で住宅ローン控除を受けている場合には、上記の規定は、「所得税の額の合計額が、配当控除の額と住宅ローン控除の控除額との合計額を超えるときは、申告書を提出しなければならない」と読み替えます。
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二 所得税法第百二十条第一項の規定の適用については、同項中「配当控除の額」とあるのは、「配当控除の額と租税特別措置法第四十一条の二の二第一項(年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)の規定により控除される金額との合計額」とする。
国税庁のHPを確認すると
国税庁のHPの確定申告が必要な人に関する記述を見ると、そもそもの条件として「残額がある場合」と記載されています。
確定申告が必要な人
国税庁HP 「確定申告が必要な人」より
所得税の申告書で言えば
所得税の申告書で言えば、㉗の税額から㉘の配当控除を控除した残額で判断します。年末調整で住宅ローン控除を受けている場合には、㉗の税額から㉘の配当控除と㉚の住宅ローン控除の合計額を控除した残額で判断します。
注意点
次の点に注意が必要です。
●確定申告が要件となっている規定は、適用しないところで考える
確定申告が要件になっている規定の適用がある場合には、これらの規定を適用しないところで計算した税額で上記の判断を行う必要があります。(申告書の提出が必要かどうかの判断を行うため。)
事例
・青色申告55万円控除・65万円控除(申告書への記載と期限内申告が要件)
・専従者給与(申告書への記載が要件)
・30万円未満の少額減価償却資産(確定申告書に明細書の添付が要件) など
●純損失の繰越しや、税金の還付を受けたい場合等は、申告が必要
申告書の提出が必要ない場合でも、純損失を翌年に繰越す場合や税金の還付を受けたい場合等は、申告書を提出しなければ、これらの適用を受けることができません。例えば、事業所得のみの方が赤字の場合には、申告書の提出は必要ありませんが、通常は、純損失の繰越しを行うため、結局のところ、申告書を提出することになります。
事例
給与収入が70万円、副業の雑所得が30万円、所得控除(基礎控除48万円のみ)の場合
一見すると、給与以外の所得が20万円を超えることから確定申告が必要なのでは?と判断しがちですが、そもそも税額がでない(計算式において残額がない)場合は、確定申告の必要はありません。ただし、給与から源泉税が徴収されている場合は、還付申告をすることで税金が戻ってくる場合があります。(今回の場合、通常は年末調整されていれば源泉税はゼロになると思われます。)
令和2年度より、給与所得控除と基礎控除の金額が改正されています。
住民税の場合は?
所得税の申告書の提出が必要ない場合でも、住民税は、基準が異なります。詳しくは、下記の記事をご確認下さい。
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